そう叫ぶと同時に、薄くスライスされたポテトチップスが飛んでくる
普通のポテトチップスとは違い、尖っており刺さると痛そうだ
「三色ピーマン攻めの刑!!」
ピーマンがゴロゴロと転がる 巨大で、しかも色とりどりなせいで大いに気味が悪い
しかし、これが野菜戦隊☆芋レンジャーと子供の永遠の敵三色ピーマンスリーとの長く続く闘いの始まりとなるのである
野鎖委(やさい)学園農業科
ここに今日転校生がやって来た
彼の名前は紅芋吉(くれない いもきち)
その彼は、あれというまに今日一日で学園中の注目を集めるまでに成長を遂げた
それは何も彼のつぶらな瞳が流し目だったとか、彼の鼻が他の者よりも一寸ばかり高かったとかそんな微笑ましい問題では無い
ただ彼の制服が何とも表現しにくい色だったからなのである
「おい…アレって赤?」
「否…あれは何というか……芋色じゃねぇ?」
「だな…薩摩芋の皮色だよな」
そんな風に囁かれる中、彼紅は意気揚々と購買に向い"おさつパン"を注文した
「芋のたっぷり入ってるのを頼むぞン」と
しかし、彼が注目されるのは表の世界での制服だけでは無い
彼は瞬く間に、この学園の裏の世界にまでも名を轟かせたのである
野鎖委の世界で有名な紅一族が、芋吉の名前を与えた子息………
その意味を、皆重々承知し、そして畏怖していた
芋パンが手に入らず、外のコンビニまで買いに走った紅は、遅刻をした
しかし、本人は何の反省もしていない
担任にも「芋人気とはこの学園も見所があるものン」と意味不明な見解を述べた
そして自己紹介では「好きな食べ物は芋と名の付く全ての物と言いたいですが、芋けんぴは苦手だもン刺さるからン」とか呟いて名乗りもしなかった
クラス中が、その独特過ぎる語尾に恐れをなしていた……ンって何やねん
しかし、そんな紅にも話しかけてくれる少女がいたのである、あぁなんという奇跡であろうか
当の紅は、彼女の頭にさしているピンの色が彼の制服と同じ色だったので仲良く芋話で盛上がった
「芋って神秘的だよな」とか「世界の母だよな」とか言う紅に、彼女はずっと頷いていてくれたのである…あぁ何という健気な少女だろうか 泣けてくる……
まぁ予想通り、クラス中の視線は突き刺さるほど痛かったが、それは気にしないことにする
放課後
何か背後から殺気を感じた紅が振向くと、制服の右肩に尖った緑の千切りのピーマンが刺さっていた
「戦線布告か……ン」
そう呟いた紅の顔は、いつもとは全く違い鋭いものだった
