男爵はすらりとした長身の青年で、もう一方の女王はというと艶かしい容貌の少年である
少年は不遜な態度で、ずっと紅を見下ろしている
「…情けないな」
「何だとンっ!!!!」
紅は少年の言葉が気に入らず、あわてて少年に跳びついた しかし、寸での所で男爵に右肩を背後から掴まれた
「紅芋様…どうか気をお静め下さい 傷に障りまする」
「っ……ン」
ピーマンとの戦闘で痛めた右足の傷が疼き、紅は床に伏した
「あれしきのことで深手を負うとは、使えぬ奴め」
「女王よ……口を慎め この方は、我らが希望……そうであろう?」
「ふっ…そのような者が希望だと?笑わせるな 紅一族も落ちたものだ」
口調はとてもキツイものだったが、女王はどこか物悲しそうで 紅の怒りも少し和らいだ
「女王よ…」
言葉も態度も偉そうで、しかしそれでいて脆く儚いような女王を男爵はじっと見つめている 愛おしくて、仕方のないように
「紅芋様…これをお飲みください」
男爵は、紅に液体の入ったコップを差し出した 紅は恐る恐る受け取り、ほんの少しだけ口に含んだ
「……じゃが芋味かン」
「左様にございまする」
そのやり取りの中、女王は切なそうに男爵を見つめる 不安で押し潰されそうになりながら
そして、かすれた声でようやく言葉を発した
「あいつを呼んでくる」
「……そうだな、そうしてくれ」
「ああ」
薄暗いこの部屋から女王が出て行くと、男爵は深々と紅に頭を下げた
「どうか…女王をお許し下さいませ あの者は、あのような物言いしか出来ぬのでございます」
「…仕方ない、じゃが芋汁に免じて今日は許そうン」
そう言って、紅芋は笑った
「ありがとうございます、紅芋様」
