「いやっ……」
緑は咄嗟に、青年を突き飛ばした そのまま重力のかかる方向に、青年は落ちていく ゴトンという音をたてて、青年は後頭部を床で強かにうった
そして、そのまま意識をとばしていく 緑の声も、届かない……
「……俺は、貴方を傷つけてばかりいるな」
緑は、青年の右手をぎゅっと掴んでそう呟いた とても、物悲しい声で
「……っ痛」
青年は、痛む頭を抱えながらどうにか身体を起こした それに気付いた緑が、慌てて駆け寄ってくる
「大丈夫……か?」
切なげに顔色を伺ってくる緑に、青年は何も言えなくなってしまった 大丈夫だよという代わりに、何度も頷いた その弾みで、強かに打ちつけた頭が痛んだがどうにか笑顔を崩さなかった
「……そうか、良かった」
緑はほっと胸を撫で下ろした それもつかの間のことで、二人の間に気まずい雰囲気が漂う
緑は、彼を連れ去ったのだ、その事実は消えない 緑が、どれだけ青年を大事に扱ってもだ
「どうして、俺をここに?」
「……それは」
コンコン―――
突如、緑の部屋の扉がノックされた 緑は扉のほうを困惑気味に見つめた後、目の前の青年に気付いて大いに焦りだした
彼はここにいるはずのない存在なのである 自分は赤に、何の収穫もないのだと報告してしまったのだから……
今、赤にこのことが見つかったとしたら、青年は勿論のこと緑も無事ではすまない
扉は未だに、何度もしつこくたたかれている
「少し待ってくれっ!!」
緑は大声でそう叫ぶと、青年の背中を押し始めた はやくはやく、と急かしながら進んでいく その先は、分かりやすくクローゼットのなかである
「少し、否かなり狭いとは思う 思うんだが、仕方がないんだ、辛抱してくれっ頼む」
そう早口で捲し上げながら、緑は顔の前で手を合わせた
「………っちょと、うわぁ」
緑は、青年の意見など全く無視して、無理矢理どうにか彼をクローゼットに押し込んだ クローゼットの中は、気持ちの悪い程に緑色の服で一色である
「……緑だなぁ」
青年は、そう呟かずにはいられなかった
