代々の芋吉たちは、ピーマンとの死闘に勝ち抜き世界に平和をもたらしてきたのである しかし、紅には未だ紅芋★レッドに変身することが出来ないのであった それを、山芋は知っていたのである
「…確かに、紅芋★レッドにはなれン しかし、闘わずにピーマンに屈するつもりはなン」
「ここには、薩摩も男爵も女王もいます 紅芋様、試してみてはいかがですか?」
「呪いは、山芋、じゃが芋、薩摩芋、里芋の全てが揃わなければとけないのだン 無理に決まっているン…」
「紅芋様……それではこれからいかがするのですか?」
紅は、答えが見つからない ピーマンに、勝つためには紅芋★レッドになることが不可欠なのである
緊迫した雰囲気が流れる中で、薩摩が明るい声で紅芋に告げた「きっと紅芋くんなら、勝てるよ!!」
「薩摩……お前は軽すぎるぞ」
山芋は、薩摩をたしなめながら、落ち込んでいる紅を見て盛大にため息をついた 役に立たない紅芋だと……
「だって、紅芋君は私たちの希望なんだよ 私たちに、紅芋を守る資格が浮き出たとき、一族皆でよろこんでくれたよ ずっとずっと、皆が紅芋くんが現れるのを待ってたんだもん」
薩摩の言葉が、懐かしい思い出をよみがえらせる
3世紀も生まれない紅芋 その再来を、皆が待ち望んでいた そこに、現れたのが紅なのである
しかし、当の紅は何の役にも立たない その事実が、山芋をイラつかせているのである
「しかし、紅芋様は未だ未成熟のままでいらっしゃる」
「でも、私たちはもっと紅芋くんを信じなきゃ 紅芋君がここにいて、私たちだってここにいて、出来ることは沢山有るはずだよ」
「それは違う、紅芋★レッドがいなければ、ピーマンには勝てない」
「違わないよ ピーマンなんかに私たちの紅芋くんが負ける訳がない だって、紅芋くんは私たちの救世主だもの」
その二人のやり取りを、紅は遠くで聞いていた それが、自分のことなのに実感がないのだ 自分は無力な紅芋で、薩摩がそこまで意地を張る理由が分からないとでも思っているようである
そこに、長く不在していた男爵と女王が帰ってきた 男爵は、女王の手を固く握り締めて離さない そんな男爵を、女王は心配そうに見つめている
「どうかしたのか?男爵、女王」
「………出撃の命令を頂きたく参りました」
男爵は、硬い表情と声でそう告げた そして、紅の前に跪いた それに女王も続く
「お前たち、何をっ!!」
山芋の叫び声など、二人の耳には入らない 二人の視線の先には、紅芋吉しかいなかった
