青年は、初めて緑に荒い声を上げた いままで、彼は自分に何が起きようとしていてもこんな声は上げなかった
「俺たちは、ピーマンだ だから、お前をさらったんだ」
苦しげに、とても悔しそうに緑は声を絞り出しながら言葉を紡ぐ その姿が、とても痛々しくて見ていられない
青年は、おもむろに緑に近寄ると両手で緑の左手を包み込んだ
「……何だよっ」
その予想外の行動に、緑は驚いた声を上げた
「泣くかと思った……」
その青年の声は、さっきとは打って変わって優しくて……緑の心に染み渡った
「俺は……泣いたりしない ピーマンは、世界の敵なんだから泣くわけがない」
「でも、君は…君だろう?」
緑は、そんな言葉は知らない ピーマンの彼に、そんなに優しくしてくれる存在などいるはずがないのだ それなのに………これはなんだっ
「違うっ!!俺はピーマンだ ただのピーマンで……」
いやいや、とするように頸を振る緑を青年はそっと抱きしめる 緑は少しためらいながら、青年の胸に顔をうずめた
「君は、僕を連れ去ったけど突き出したりはしなかった 君が、危険なのに…僕を差し出した方が、君のためなのに」
「……分からない、分からないっ!!俺はただ、ただ……嫌だっただけだ」
「何が、嫌だったんだ?」
「…………お前が、傷つくのが」
青年は、ただそうかとだけ言って、更に緑をきつく抱きしめた ありがとうという代わりに……
「お前たちも、温かいんだな」
「あぁ、君も温かい」
緑は初めて、ピーマン以外のぬくもりを知った このぬくもりをきっと一生忘れずに生きていこうと、緑は心にかたく誓った
「今から…俺は闘いに出る」
